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今頃『ラブ&ポップ』|村上龍
村上龍には特に興味はなかったのだが
知人がこの本の話をしていたので
『ラブ&ポップ』
古本で105円で、手に取った

さらっと読める本だった

最初の出だしは、主人公の夢の内容が書かれていたが
文章そのものが鈍臭く、驚いた

文章の鈍臭さは最後まで一貫して貫かれていたが
現実をリアルに描写するための
会話や、テレビから聞こえてくる音声、レンタルビデオ屋に並んでいるタイトルの羅列など
だらだらと書かれた文章はとても醜くて、そういった場面になると何度も読み飛ばした
リアルを伝えるためには、どうしてもそのまま文章にする必要があったのだろうか?
とても疑問であるが、もしそれが特徴であったりするならば、クールではないが、それでもいいのだろう
つまりそういうのは、外国語に翻訳はできない作品ということになる
その国の状況によっては、そのものの言葉の意味は日本と共通するものではない事が往々にしてあるから、リアルさは翻訳されない可能性が高いように感じた
それから、全体的に軽いタッチなのは、この作家の特徴なのだろうか

文章自体の魅力は全く感じることはできなかったので、文章の感想はこれ以上書かないこととする


物語はというと
約10年前の女子高生の援助交際をテーマにしたものだった
約10年前ということは、私自身も女子高生だった時だ
10年前の自分と同じ世代のことが書かれている、ということだ

いろんなことがリアルに思い出され
小説全体にある退廃的な雰囲気や、女子高生という特別な時間という観念、目の前に広がる世界を記号として受け止め処理する感覚(思念が入らないというか)などとてもリアルに感じた

あの当時は援助交際を始め、不倫とかなんとかモラルが一気に崩壊した時期だったように記憶している
景気も悪くなり、社会的不安が少しずつ迫ってきた時期

これまでの、当たり前にあったある何かに根付いていたものから、足がふぅっと離れ、『社会』のある型にはまり、それらを実験(体験)し、自分の中の変化を変化とすら感じない時期

私自身の話では、一番女性として危険な目に遭った時期でもあったので、常にそれらの危険と共に闘う日々だった
つまり制服が危険なユニフォームであったのだろう
書店に行けば痴漢にあい、登下校につきまといにあい、都会に行けば危険な声がかかってくる
同世代の男の子が一番安全であって、話しかけてくるオヤジは危険なやつだったのだ
今も女子高生に声をかける成人男性は多いのだろうか、それともあの頃の流行だったのだろうか
一切声をかけられなくなった今となっては確認のしようがない


物語には
援助交際をする女子高生が描かれているわけだが
女子高生を買う男たちもまたリアルに描かれている
詳しく書かれいてるが、女子高生がまだ未熟なため、どうしてその男がそうなのか、というところまではつっこまれていないし、そこに関心は向けられていない
お金を得ることができれば、それを払う理由などはどうでもいいのだ
それはとても危険なことで
物語でも実際に危険な目や、気持ち悪い体験をすることになる

容姿が相手に及ぼす影響がとても大きいこともまた描かれている
それもとてもリアルだと感じた
醜い人はただそこにいるだけで人を不快にし、容姿端麗であればたとえ犯罪者であっても了解の範囲内なのだ
お金を媒体として、『普通に』生きていたら絶対に交差することのない人生と人生が交差する



若い頃は同じ世代の男の子としか付き合わなかった理由はそこにあった
年上の男は、同世代の女性に振り向いてもらえない何かがあって、経済面であったり、知識、経験など確実に優位に立てる年下の女に手を出すのは、気持ちが悪い何かがあるのだという被害妄想的な、と同時に当たっていたりもするのだろうけど、そういう理由で避けていたことを思い出した
店であり、出会い系であり、女を買ったことのある男が気持ち悪いという感覚を思い出した
年をとっていく毎に、男が動物的に女の体を欲するとか、特徴的な性癖があったり、女性に好かれない理由があったりすることを、体験を通して寛容的に受け止めることができるようになったが
そういえば、世の中は残酷で不条理なのだった

女子高生の主人公が、一人で援助交際をする時の、相手を観察したり、相手の心の中を見ようとする描写は生々しかった
男たちの表面の描写はまだいいが、表面からうかがわれる内面の、その男の人生の一部分がはみ出たような部分が見えるのは、なんだかリアルで気持ちが悪かった



いくら声をかけられなくなったといえども、平気で夜中でも一人で歩くのは
ちょっとよした方がいいのかな、なんて思った

暗い気持ちになる小説だった

文学的に達者ではないということがわかったのが今回は満足であったし
様々な記憶がとてもリアルに蘇ってきた体験でもあったため
無駄な時間にはならなかった
むしろ夜中ぶっ通しで読んだことで記憶の旅にでれたので
満足はできた
105円で得た満足にしては期待以上

マグカップ3
いじわる
寝たふり   0 0

thema:文学・小説 - genre:小説・文学
















 

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